日本債券信用銀行の社長に、オリックス・クレジットの丸山博前会長(六四)が十二月五日付で就いた。本間忠世前社長(六〇)の衝撃的な自殺から二カ月余。迷走を重ねた末に選ばれたのは銀行経験の全くない、半ば引退しようとしていた人物だった。下馬評では「銀行出身」かつ「若手」が就任すると目されていただけに、早くも中継ぎ人事との見方が広まっている。 十一月二十日、日債銀本店で開かれた丸山新社長の発表会見。集まった記者たちからは、「あんなに年を取っているのか」という声が漏れた。写真を見ての通り、総白髪の容貌だ。今年六月にオリックス・クレジット社長から会長に昇格したばかり。 酒は嗜まず、ゴルフもほとんどしない。「徒党を組まず、孤高を好む」(オリックス関係者)という丸山社長らしく、第一線から外れ「豪華客船で旅に出ようか」との思いを巡らせていたそうだから、宮内義彦オリックス会長兼グループCEO(最高経営責任者)からの社長職の打診に「びっくりした」というのは本音だろう。 従来の日債銀の経営体制は、元日本銀行理事の本間前社長と、十二月六日付で退任した第一勧業銀行出身の小寺義信専務(五一)の二人が常勤取締役。同行の株主であるソフトバンク、オリックス、東京海上火災保険の三社とは無関係の人材だった。一方、新体制はオリックス出身の丸山氏に、筆頭株主であるソフトバンク取締役の笠井和彦氏(六三)が非常勤の会長、東京海上取締役の岩下智親氏(五四)が代表権のある専務と、全員が株主企業の出身。「機関銀行」批判の最中であるだけに、今回の経営陣人事に苦悩の跡が見て取れる。

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