危機の火は消えないダイエー

執筆者:2000年12月号

「フェニックスプラン」は問題先送りに過ぎない ダイエーが十一月二十四日に発表した修正再生三カ年計画(フェニックスプラン)は、多くの関係者にとって意外な内容になった。これまで最も重要なポイントだった有利子負債の圧縮計画が見当たらないのだ。代わりに住友、三和、東海、富士銀行のメーン四行が各三百億円の増資に応じ、加えて五千億円のコミットメントラインまで設定されていたのである。 増資方法は、議決権のない優先株をダイエーから取得するもの。コミットメントラインとは、一定の手数料を払うことで決められた枠内の融資を保証する取り決めだ。「世間からは『盗人に追い銭』と見られかねないですね」と、メーン行の中堅幹部は苦笑する。確かに、ここ数カ月のダイエーは、傍目には理解しがたい迷走を続けていた。「最悪の時に備える」金融機関 八月下旬、鳥羽董社長(当時)ほかダイエー経営陣は、首都圏のあるホテルでカンヅメになっていた。七月中旬のローソン上場は惨敗し、見込みより一千八十億円の調達不足。有利子負債圧縮のための頼みの一策がついえ、急遽、経営再建策の練り直しを迫られたのだ。実際、このままでは二〇〇一年二月期から適用される新連結会計基準で、「ダイエーが二千億円近い債務超過に転落するのは明らかだった」(メーン行関係者)。新たな再建計画の各別は「フェニックス二〇〇プラン」。経常利益二百億円の確保を目指し、グループ企業の清算や店舗の追加閉鎖なども盛り込んだ同計画は、十月の中間決算発表時に披露されるはずだった。

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