一九八一年にエジプトのサダト大統領を暗殺したイスラム過激組織、「ジハード(聖戦)」が、エジプト政府打倒闘争の再開を宣言した。中東和平交渉の行き詰まりによるアラブ世界での反イスラエル、反米ムードの高まりに乗じたものとみられ、ムバラク政権も警戒感を強めている。 今月初めに「ジハード」が西側通信社に送りつけた宣言文は「現体制打倒はイスラム教徒の義務」とし、「パレスチナを占領し、イスラムの聖地アルクッズ(エルサレム)を包囲する敵の一掃」を掲げた。「ジハード」は軍関係者も加わっているといわれる秘密結社で、エジプト最大の過激組織「イスラム団」が九七年のルクソール乱射事件など無差別テロに走ったのに対し、要人暗殺、政府関連施設の爆破といったピンポイント攻撃を特色とする。 ルクソール事件でイスラム過激派への反感が高まった後、エジプト国内では鳴りを潜めていたが、指導者アイマン・ザワハリ氏はアフガニスタンに潜入して国際テロリスト、オサマ・ビン・ラディン氏と合流。九八年のケニア、タンザニアの米大使館爆破テロに加担したとの情報もある。こうしたテロが今後、エジプトで起きる可能性も捨て切れない。

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