北朝鮮出身の元軍人が日本に政治亡命を求めている裁判で、二月二日、福岡地裁で判決が下される。飢餓の続く北朝鮮からは、これまで複数の在朝日本人が中国経由で密かに帰国したことが明らかになっているが、北朝鮮人が亡命を求めたのは異例で、日本政府の対応が注目される。 裁判の原告は金龍華氏(四七)。朝鮮人民軍の兵士だったが、列車事故の責任を問われ、命の危険を覚えて一九八八年、中国へと脱出し隠れ住んだ。その後、九五年には小船で韓国へと入国するも、中国に強制送還される可能性が高まったため、九八年四月、福岡県沖ノ島から日本に密入国。すぐに身柄を拘束され、昨年三月の仮放免まで長崎県大村市の入国管理センターに収容されていた。 北朝鮮に戻されれば処刑される危険もあるが、日本で政治難民として認定される可能性は低い。「日韓政府は金氏を中国籍とみなしている。しかし、脱北者が中国で国籍を取得することなど不可能。彼の場合も、中国当局の捜査を逃れるために偽造の身分証明書を金で買っただけ」(支援者)。支援団体は韓国の金大中大統領への嘆願を続ける一方、日韓の対応如何では、米国など第三国への受け入れ要請も検討するという。

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