放送とインターネットの融合した本格的なサービスが期待される次期CS(通信衛星)デジタル放送。郵政省(現総務省)は昨年末、十八社に免許を認可したが、同省が作成した内部文書には「口利き」に奔走した郵政族議員の名がズラリと並ぶ。 例えば日本テレビ系のシーエス日本の口利き役は、自見庄三郎元郵政相。読売グループと親密な山崎派の幹部で、大臣時代に郵政三事業の民営化を阻止して郵政省幹部に恩を売っただけに、最適任だ。フジテレビやテレビ朝日も、綿貫民輔氏や鈴木宗男氏といった橋本派の郵政族重鎮を押し立て免許を獲得している。 圧巻なのは九州の石油卸しである岩崎産業。放送とはあまり縁のない地場企業が免許を獲得できたのは、郵政族の自見氏や小里貞利前自民党総務会長、山中貞則元通産相など九州選出議員を総動員したからだ。 だが、口利きと言っても郵政族でなければ神通力はないようだ。パチスロ大手のアルゼは元警察官僚の平沢勝栄氏を頼ったがあえなく落選。札幌テレビに至っては、元郵政事務次官の五十嵐三津雄KDDI顧問や元放送行政局長の江川晃正トヨタ顧問など郵政省OBにすがったが効果はなかった。

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