閣僚人事から読み解くブッシュ外交の行方

執筆者:田中明彦2001年1月号

 ちょうど一年前の本欄で指摘したように、欧米の多くの国では二〇〇〇年をもって、新世紀も新ミレニアムも始まると(誤って)考えていたので、二〇〇一年の開始が二十一世紀の幕開けとして感慨を持たれたのは日本くらいのようで、世界的には静かな新年であった。また、昨年のようなY2K問題という世界中を巻き込む大問題もなかった。 もちろん、イスラエルとパレスチナの問題は依然として解決の糸口まで辿り着けず、中東に関する懸案事項は年を越すことになった。世界的にいえば、これ以外にもなかなか解決の見通しのたたない紛争は多い。しかし、これまでの数年間と比べてみると、この新年は、やはり静かな新年だったと言えそうである。共和党右派色の濃い閣僚人事 そのなかで関心が集まったのは、やはり、アメリカの新政権の行方にようやく最終決着がついたことである。はたして、静かに始まった二十一世紀を、真に安定した平和な世紀とすることができるか。そのために唯一の超大国であるアメリカは何をすべきなのか。本来であれば、十一月の大統領選挙直後から検討されるべき課題が、新年にかけて、そして大統領就任式にかけて、いろいろと出てくることになったわけである。

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