207分の1

執筆者:伊藤洋一2001年1月号

 非常に腹が立っていることがある。待ちに待たされたのである。そしてやっと先日通じた。韓国帰りの友人も「日本は本当にひどい」と怒っていた。次世代のインターネット接続の柱になると思われるADSL(非対称デジタル加入者線)のことである。今までのISDNはいかにも遅かった。ADSL開通で、やっと我が家も「高速インターネット時代」の幕開けを迎えたのであるが、繰り返すが、「やっと」である。 だが、日本でADSLを使えるようになった家庭はまだ一万に達したにすぎない。韓国の二〇七万回線、アメリカの九五万回線に大きく水をあけられている。地域別でみても、日本は関東が大部分で関西のADSL回線数は一月初め現在一三〇〇に満たない。ADSLの普及度においては韓国の「二〇七分の一」ということになる。 文書中心から音、そして映像。ADSLを使うと、テレビとネットとの融合がすぐそこまできていることが実感できる。しかしこの技術の普及をNTTは、(1)試験サービスの提供範囲を東京都内の六つの電話局に限定(2)「問題がある」と同社が判断した事業者にはサービスの提供を拒否(3)DSL業者による電話局内での自前の接続工事も認めず――などで拒んできたとみられる。NTT東日本は公取委から警告を受けている。

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