自民党政権を見限った霞が関の真意

執筆者:生田忠秀2001年2月号

一月六日に新省庁体制がスタートしたものの、KSD事件、外務省機密費流用疑惑で森政権は末期的な状態に陥っている。行政改革そのものが宙に浮いた状態になっている中で、多くの官僚たちが自民党を見限り、「政界再編」を求め始めた。「政治家が方針を示し、官僚の出す政策メニューを基に政策決定を行なう」――これが一月六日にスタートした新省庁体制=「政治主導」体制が目指した基本的構図である。 内閣機能強化、中央省庁再編、副大臣・政務官制度導入などは、そのための体制整備でもあった。 官僚機構が相次ぐ政策破綻、不祥事で国民の信頼を完全に失うなかで、「政治」が国民世論を背景にして、曲折を経ながらもようやくにして実現に漕ぎつけたのが、今回の一連の改革である。 ところが、不幸な巡り合わせとでも言うべきか、新省庁体制スタートに向けての準備期間から、森喜朗政権は「ダッチロール」(経済官庁局長)の度合いを一段と深め、改革は脇に押し出され宙に浮いた状態になっている。 KSD(ケーエスデー、中小企業経営者福祉事業団)事件では、今回の省庁再編の成否を決めるポイントと見られている内閣府・経済財政諮問会議(議長、森首相)の初代担当大臣である額賀福志郎経済財政担当相が更迭されただけではなく、自民・公明・保守連立政権そのものが根底から揺らぎをみせている。

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