太平洋グアム島にある米軍基地の港湾拡張工事が密かに進んでおり、年内にも大型の潜水艦六隻が同時に停泊可能な状態になることが判明した。在京軍事消息筋によると、先遣部隊として原潜三隻が二〇〇二年四月に同港を母港化するために進駐する予定という。総工費は二億ドル以上と見積もられており、完成後は空母の接岸も可能としている。 米ブッシュ政権は、朝鮮半島の緊張緩和を見据えて在韓米軍三万七千人の削減、さらに在日米軍四万七千人の見直しにも着手していると見られており、同時にクリントン前政権時代に下された太平洋地域での部隊配備見直し作業も引き継いで行なわれていることの証左と見られる。 当面、米軍が大型原潜六隻をグアム島に配備する背景には、遠洋艦隊創設を目指し太平洋地域への海軍力を増強している中国の動きに対応したものとされる。米軍は南沙(スプラトリー)諸島や台湾海峡での有事発生に備えた守りを、在沖縄基地だけでなく、グアム島に築く狙いもあるようだ。米軍はすでに昨年、精鋭ミサイル部隊を密かにグアム島に移転させ、中国側が神経を尖らせた一幕もあり、太平洋を舞台にした米中軍事緊張がにわかに高まっている。

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