台湾の李登輝前総統が五月に訪米したあと、日本訪問のビザを申請する見通しとなった。中国が日本にビザ発給反対で圧力を掛けるのに対し、親台湾のブッシュ米政権は逆に発給を促すとみられ、日本政府は米中による股裂きに遭いそうだ。 李登輝氏は五月、母校のコーネル大学(ニューヨーク州)に創設される「李登輝記念科学技術研究所」の開所式に出席するため訪米するが、ブッシュ政権は既に、同氏にビザを発給することを決めた。訪米の帰途「私人」として日本に立ち寄り、念願の「奥の細道」を歩くことを計画している。 李氏の政治的影響力を警戒する中国が訪米、訪日に反発するのは必至だが、ブッシュ政権は断固これをはねつける公算が高く、中国も内心は訪米阻止は困難とみなしているようだ。しかし、日本に対しては厳しい圧力を掛けるとみられ、外交的な対抗措置を取る可能性もある。日本が中国の圧力に屈してビザを発給しない場合、米議会の共和党親台湾派が日本を「弱腰」と批判、ブッシュ政権も不快感を強める可能性もある。 李氏訪日問題で中国の顔色ばかりうかがってきた日本外務省は今年、最も困難な決断に直面しそうだ。

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