中国のポスト江沢民を狙う後継者レースは、目下のところ胡錦濤国家副主席がトップを走っている。二番手が江沢民総書記の懐刀である曾慶紅・党中央組織部長だ。 だが、ここに来て密かに中南海で注目されているダークホースが、令計画なる男だ。党中央弁公室副主任が正式な肩書き。令氏は九七年から二〇〇〇年五月まで胡錦濤氏の側近として胡弁公室で働いた人物。いわば胡氏の子飼いである。出身は胡氏と同じ共産主義青年団。胡氏の引きで党中央弁公室入りし、現在は党中枢要人のスケジュール調整など秘書的な業務を担当している。昨年七月に胡錦濤国家副主席の東南アジア歴訪に同行したのをきっかけに、外交問題や党の若返り問題などで発言力を増し、目下影響力を増大させている。 そこで生じるのが江総書記側近中の側近、曾氏との摩擦。党内では胡錦濤氏は七人いる政治局常務委員の一人で政治局員候補の曾氏とは二階級も違う。しかし、江総書記への近さでは曾氏と胡氏はほぼ並ぶ。そこに胡氏の子飼いの令氏が割りこみ、複雑な状況が発生している模様だ。二〇〇二年秋の十六回党大会を前に、水面下では人事を巡る激しいツバ迫り合いが展開されている。

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