アフガニスタンの首都カブールの消息筋によれば、同国を実効支配するイスラム原理主義勢力タリバン政権指導部内で、国際テロの黒幕とされるサウジアラビア出身の富豪オサマ・ビン・ラディン氏に対する処遇をめぐり意見対立が激化している模様だ。 外国からの経済援助を秘かに望む穏健派では、ラディン氏を保護し続ければ一層の国際的孤立化を招くとの懸念から、同氏をアラブのいずれかの国に出国させるべきだとの意見が台頭、ラディン擁護一本やりの強硬派との軋轢が生じている。 今年一月カブールで開かれた会合では両派が銃を持ち出して相手を威嚇するほど険悪な空気になり、最高指導者モハマド・オマル師が仲に割って入り、ようやく騒ぎが収まったという。 穏健派に属するとみられるムタワキル外相がブッシュ米新政権誕生を機にワシントンに書簡を送り、ラディン氏の身柄問題で柔軟な対応を取る用意がある旨伝えたことも強硬派を刺激、同外相は一時命を狙われかねない状況にあったといわれる。 消息筋は「このままだと、タリバン指導部が二つに割れる事態もあり得る」と予想している。

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