二〇〇二年のサッカー・ワールドカップ(W杯)で、防衛庁が静岡県に航空自衛隊浜松基地の一時使用を認める見通しとなった。同基地に配備されている空中警戒管制機(AWACS)四機は期間中、別の基地に移すことになりそうだ。 静岡県では準々決勝を含む三試合が予定されているが、最寄りの空港は名古屋空港しかなくアクセスの悪さが指摘されていた。このため石川嘉延知事が防衛庁を訪れ、斉藤斗志二長官に一時使用への協力を申し入れ、斉藤長官は理解を示した。 問題は大型機が続々と飛来した場合、AWACSを置く場所がなくなるため、他の基地に移動させざるを得なくなること。空自はAWACS配備の際、日本を不法侵入機から守るため列島中央部にある浜松基地が最適と説明していた。一時的とはいえ移せるなら、浜松配備が不可欠ではなかったことになるが、空自幹部は「W杯は世界的なイベント。抵抗しても仕方ない」と話す。 一方で、「基地には入管も税関もない。選手、観客とも成田か名古屋で入国し、国内線に乗り換えて浜松に来るのだろうが、そこまでして浜松基地を利用する意味があるのか」と防衛庁幹部は首を傾げる。

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