森喜朗政権の「三月危機説」が現実味を帯びつつある。各種世論調査の内閣支持率は依然として二〇%にも届かず、ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)の政界工作事件、外務省元幹部による機密費流用事件など、対応次第では政権が窮地に陥る“落とし穴”が次々と待ち構えている。 KSD事件は、リクルート事件に匹敵する疑獄に発展する可能性もあり、民主党の鳩山由紀夫代表は、自民党の村上正邦前参院議員会長、額賀福志郎前経済財政担当相、亀井静香政調会長、藤井孝男衆院議運委員長の証人喚問を要求。参院選対策を優先する青木幹雄参院幹事長、森派会長の小泉純一郎元厚相らもかばう気はなく、村上氏も証人喚問に応じる考えだ。ただ、逮捕された小山孝雄前参院議員の供述によっては、村上氏の取り調べに進展することも予想され、情勢は予断を許さない。 機密費流用事件も松尾克俊元要人外国訪問支援室長の「個人の犯罪」にとどまらず、組織の関与が判明すれば、河野洋平外相の引責辞任は不可避。公明党の神崎武法代表は先の外務省調査のやり直しを迫るだけでなく、予算案の機密費減額を含む見直し要求を検討し、与党内の調整が必要となってきている。 いずれも森首相の責任が問われる事態で、党内にはポスト森候補として小泉氏の名前が取り沙汰されている。小泉氏の持論である「郵政民営化」に反対してきた野中広務前幹事長ら橋本派も、小泉氏との間で十年のスケジュールで改革すればいいとの判断で一致したとされる。

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