先の大統領選では闘争民主党のメガワティ・スカルノプトリ党首の大統領就任を阻止するため、ワヒド選出に大きな役割を果たしたアミン・ライス国民信託党党首が、今度は議会第三野党の開発統一党などイスラム系政党と連携して「ワヒド降ろし」に走ったことから、メガワティ副大統領の大統領昇格が浮上してきた。 特に経済の七割を握る華人の中で待望論が高まっている。華人が警戒するイスラム教色がなく、副大統領就任後もシンガポールや香港など、華人が経済力を誇る地域を積極的に外遊、投資の誘致を図ったことが華人の好感を呼んだ。さらに、経済担当調整相をつとめた華人のクイック・キアン・ギー闘争民主党顧問がメガワティ側近であることも、「親近感」増大に貢献している。 しかしその一方、「首尾よく大統領に就任しても、すぐにイスラム勢力が揺さぶりをかけることは確実だから、政局は結局安定しない」との声もある。「民主化の象徴」といわれる「メガワティ政権」の崩壊後に残された道は、軍による政権掌握しかないとの冷めた見方をする華人も多く、その場合、外国の投資が当面望めなくなる恐れもある。「インドネシアの漂流」はまだまだ続きそうだ。

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