マレーシアのマハティール首相は、香港拠点の政治・経済週刊誌「アジアウィーク」二月一日号の表紙を飾ったが、「“愚か者”に見える表情の写真が意図的に使われた」として、怒り心頭に発しているという。首相特別補佐が強い批判を込めた手紙を送ったものの、同誌が謝罪しなかったことが怒りにさらに油を注ぎ、与党・統一マレー国民組織内に急遽外国メディアによるマレーシア及び首相批判記事をチェックする委員会の設置が決まった。同誌を始めとする外国雑誌の発売が先月から大幅に遅れているのも、首相の怒りを受け、当局が発売許可申請の認可を意図的に遅らせたのが原因とされる。これまで首相は外国メディアのインタビューを気安く受けてきたが、今や完全シャットアウトの姿勢で、報道担当秘書官が困り果てているという。 九八年九月に政府が資本規制を導入した際、同誌を含む外国メディアは批判の論陣を張り、アンワル前副首相の解任、逮捕に関しても首相に批判的な報道を続けてきたが、政府は厳しい措置はとらなかった。ここに来ての報道規制に、外国報道機関のマレーシア特派員の間では「首相のボケが始まったとしか言いようがない」との非難の声も出ている。

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