「新三人組」と呼ばれる野中広務前幹事長、青木幹雄参院幹事長、古賀誠幹事長のなかでも、森喜朗首相の退陣劇とその後の政局のキーマンは青木氏だ。えひめ丸事故の翌日、森首相と会談した青木氏は、野中氏らに「首相は政権にこだわっていない」と伝え、首相に鈴をつけるのは自分との気概をのぞかせた。もちろんこの裏には、七月の参院選で惨敗すれば自民党政治は瓦解しかねないとの危惧がある。 背水の青木氏が練る戦略は、参院選でいかに大負けしないかに尽きる。青木氏は次のように計算している模様だ。現在、参院の与野党議席差は十だが、七月の選挙で定数が削減されるため、過半数が百二十四議席と三つ減る。また、前回選挙で自民党議員がゼロだった八つの空白区で候補者を一人に絞って戦えば、四議席程度は回復できる。つまり、与野党逆転までは十七議席分の「ノリシロ」がある。 仮に逆転を許しても、負けを小さくできれば主導権は握れるとの読みもある。鍵を握るのは共産党。共産党の議席は二十三で、うち改選は八議席。前回同様十五議席獲れば三十議席になる。野党勢力の四分の一が共産党なら、共闘といっても民主党主軸では是々非々の対応に陥らざるをえない。結果的に自民党主導になるというわけだ。

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