みずほ経営陣は総退陣せよ

執筆者:三浦隆2001年4月号

役員の義務を忘れ、内紛に明け暮れる彼らに税金をつぎ込む価値はない 第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の三行が一緒になって持ち株会社「みずほホールディングス」を作ると高らかに発表したのは九九年八月。当時、市場は邦銀の構造改革へ向けた決意の現われと評価し、実際に株価も急上昇した。あれから一年八カ月、当時の熱狂は見る影もなく消えうせ、有能な若手行員は雪崩を打って銀行を去りつつある。その間にも市場や一般株主・預金者の目がどんどん厳しくなっていることに、経営トップたちはまるで気付いていない。 三行の間を支配する空気は、腹の探り合い、互いの不信感、そして時に嫌悪感ですらある。いったいなぜ、これほど内部が分裂しているのか。こうしたみずほの現状を理解するには、まずは第一勧銀の伏魔殿ぶりを理解しておかなければならない。D対Kの情報戦 この二カ月、通常は杉田力之第一勧銀頭取、山本惠朗富士銀頭取、西村正雄興銀頭取が出席して開かれるみずほのCEO(最高経営責任者)会議に、杉田頭取が出席していない。代わりに第一勧銀から出席しているのは、行内随一の実力者である西之原敏州副頭取である。 クーデターが起きたわけではない。杉田氏は今年二月末前後、急な内臓疾患(胆嚢狭窄との説あり)がもとで緊急入院し、手術を受けたと伝えられる。退院は当初、四月とされていたが、術後の経過の問題もあってか五月連休明けに先送りされたという。西之原氏はこの杉田氏の代役というわけだが、問題はこれが単に「代理出席」と片付けられないことにある。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。