米中両軍機の接触事故を受け、中国軍が艦船レーダーなど電子装備を一新させる可能性が出てきた。これに対し、米軍も電子偵察機の搭載機器を変更するのは確実で、米中双方の情報戦が熾烈化するのは必至だ。 接触事故を起こしたEP-3電子偵察機は週五回程度、南シナ海を飛行し、電波・通信情報やレーダー情報を収集していた。これらの情報は地上でもある程度収集できるが、艦船の射撃管制レーダーなど波長が短い電波は上空で収集するしかない。EP-3は中国海軍が昨年ロシアから購入したソブレメンヌイ級駆逐艦の情報を収集していたとみられる。 在日米軍筋は「海南島に着陸する前、収集したデータは破壊できても、ハードまでは破壊しきっていないだろう。専門家がみればEP-3が収集していた周波数帯は一目瞭然」という。そのため、中国軍は艦船搭載の電子機器を変更したり、地上レーダーの周波数を変えるため機器を一新すると予測され、当然、米軍も対抗措置をとる。同筋は「情報の空白を作らないために米軍は収集活動を活発化させるはず」と指摘する。 EP-3が搭載していた敵味方識別装置は同盟国間だけに通じる暗号機器で、米軍がこれを取り替えると自衛隊も交換せざるを得なくなる。

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