北朝鮮とロシアの急接近の背景に、謎の「事業家」の存在が指摘されており、関係者が注目している。公安当局によればこの人物は、中国・黒龍江省の朝鮮族の五十歳代の男性で、「崔」と名乗っているという。 同氏は、「民族経済開発総公社」という会社を通じて、十数年前から中国の対北朝鮮民間貿易を独占。北朝鮮経済に寄与した功績で、「共和国英雄」の称号を贈られているとされる。 公安当局幹部は「『英雄』は、海外同胞向けの最高の称号。これまでに、故・韓徳銖・朝鮮総連議長ら数人しか贈られていない。同氏の位置付けは、相当なものだ」と解説する。 同氏は、武器商人としても暗躍しており、ロシアの最新鋭戦闘機ミグ29の部品などを北朝鮮が入手する際の窓口となっているともいわれる。 中国政府が、どこまで関与しているかなど実態は明らかではないが、「北朝鮮―ロシア―中国を結ぶ黒幕」(公安当局)として、存在感を急速に増してきているのだ。 公安当局は、「ロシア以外の第三国を経由しての北の武器密輸入にも深く関わっているとの情報もある。さらに、対日工作への関与も疑われている」として、情報の収集、分析に全力を挙げている。

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