NKKと川崎製鉄が二〇〇三年をメドにした事業統合を正式に決めたことで、住友金属工業の身の振り方が鉄鋼業界の焦点となってきた。 NKK―川鉄は統合した段階で新日本製鐵を抜き、日本最大の高炉メーカーになる。新日鉄にとっては、二位に甘んじることは「耐えきれない屈辱」(同社関係者)。それだけに新日鉄はなりふりかまわずパートナー探しに入ると見られている。世界的にみても高炉メーカーは各国一―二社への集約が進んでおり、当然の流れだと言えるだろう。 これまで業界周辺では、新日鉄―神戸製鋼の組み合わせが囁かれてきた。だが神戸鋼は事業の多角化を急速に進め、すでに他の高炉メーカーとは異質の存在になりつつある。新日鉄としては、むしろ住友金属との合併を選んだ方が合理性がある。 ただ、旧住友財閥の企業は住友銀行―さくら銀行、住友化学―三井化学の統合など、合併する場合には吸収する立場に立っており、吸収されることへの抵抗感は外から見る以上に強い。住友金属も新日鉄との合併を視野に入れてはいるものの、当面独立で存続する道を探る模様だ。その場合、新日鉄が神戸鋼を事業パートナーとして選ぶ可能性も、依然として残されている。

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