福岡地検の山下永寿・前次席検事が福岡高裁の古川龍一判事に妻の脅迫容疑事件の捜査情報を漏洩していた問題は、関係者の処分が発表され終息に向かった。だが地元・福岡では、この件で「談合事件の関係者」がメリットを得た、と囁かれている。 福岡では、福岡地検特別刑事部が昨年九月、地元建設会社「河本建設」の社長と専務を脱税容疑で逮捕。この際、詳細な談合メモを押収し、二カ月後には地元老舗の「松本組」の副社長らを競売等妨害容疑で逮捕。今年一月には福岡地検は福岡市局長を収賄容疑で逮捕した。この捜査を指揮していたのが問題の山下前次席だったのである。判事妻事件の漏洩問題が発覚したのは局長逮捕の直後。談合事件の捜査は漏洩問題によって頓挫し、喜んだのは談合関係者たち、というわけだ。「地検は中央政界まで視野に入れていた。メモには談合の場所、日時、名前、渡された裏金の額まで記載されており、自民党の派閥領袖級議員の名前もあった。山下次席が更迭された今、地検は捜査を進める態勢ではありません」(地元記者)。地元では、「談合事件拡大を望まない筋が漏洩問題を仕掛けた」という内容の怪文書まで出回っているという。

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