「不良債権アイランド」沖縄

執筆者:末羅征幸2001年4月号

政治家の利益誘導と官僚の中途半端な法制化が複合して…… 二月六日、東京・大手町の経団連会館九階クリスタルルーム。「IT革命と地域活性化シンポジウム――沖縄県北部地域振興を中心に」と銘打たれた懇親会は、政界工作の密命を帯びたビジネスマンで超満員だった。彼らの目当ては仲村正治・内閣府副大臣、牧野浩隆・沖縄県副知事、知名洋二・沖縄県経営者協会会長、岸本建男・名護市長などのお歴々。沖縄本島の北部振興策一千億円をはじめ、二〇一〇年までの十年間で二兆円は下らないとされる新沖縄振興策(第四次)の行方を決める地元の実力者とお近づきになりたいのだ。 ビジネスマン達の第二の目的は、米軍普天間基地の移転先となる名護市の新しい飛行場とその工法に関する情報収集。何せ、一発で売上高五千億円を下らない大事業。新飛行場を巡って、埋め立て式を推す地元の建築業者、メガフロートと呼ばれる海上基地の受注が欲しい船舶・鉄鋼連合、桟橋型を進める鉄鋼・スーパーゼネコン連合の三派に分かれて鎬を削っている。 公共事業を受注したい企業にとって、沖縄ビジネスは実に「おいしい」商売のようだ。一九七二年の本土返還以来、全国の七五%に相当する米軍基地を集中させる見返りとして、旧沖縄開発庁の予算ベースで六兆四千億円を超える公的資金が投入されてきた。九割以上が道路、建物など、いわゆるハコ造り。今や水道普及率、道路改良率、街路普及率、公立図書館数、公営住宅戸数など社会インフラの整備率は全国平均を上回る。陸上競技場などは全国平均二倍の水準に達した。

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