今必要なのは「保守革命」である

執筆者:中西輝政2001年5月号

高い支持率で発足した小泉内閣は、政界大再編に向かわない限り、「第二の細川内閣」となってしまう危険がある。今、日本に必要なのは「改革」というよりも、「改革」である。現実を直視する保守主義と、強靭な合理主義なくして日本のの再生はない。 稀にみる世論の高い支持を受け、小泉内閣が発足した。久しぶりに誕生した、国民の期待を背負った、追い風の政権といえるだろう。リーダー自身にも「改革」のイメージがある。ぜひともこれを契機として、日本の再生のために新しい流れを作ってもらいたい。 しかしながら一方で、小泉内閣には政権自体が抱える問題があり、その前途には様々な落とし穴が待ちかまえている。小泉内閣が、日本の政治そのものの有り様を根本的に変えていかないと、つまり新たなる政界大再編の第一歩を踏み出す努力をしない限り、小泉内閣は「第二の細川内閣」となって幻滅だけを残す危険性がある。 小泉首相にとって差し当たって重要な課題は、今日の日本にいかなる改革が必要か、その基本コンセプトを明確に示すことである。 ことによると、現状のムード的な改革風潮に乗って七月の参議院選挙に勝ち、その後に本格政権樹立を考えているかもしれない。だがそれは、大変危険な落とし穴ともなる。自民党内の改革に後ろ向きの勢力は、参院選までは政権を支えても、所詮は「同床異夢」。こうした異分子に囲まれたままでは、政権が本当の改革を進める力を持つことは到底できないからだ。

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