現代の朱子学を奉じる新聞社

執筆者:徳岡孝夫2001年5月号

 小泉内閣の人気は凄い。まだ何もしていないのに、これまで「自民党が」と聞いただけでソッポを向いた人、完全に政治にシラケていた人までが、総裁選のときから彼を眺めてはソワソワしている。高い支持率が七月の参院選まで続くのか、自民党が単独で過半数を取ればどうしようと、公明党や創価学会は居ても立ってもいられないだろう。 しかし、官房長官に紹介されて壇上に立つ新閣僚の一人一人に「靖国神社に参拝しますか? 公的ですか私的ですか?」と聞かせた新聞社も、同じほど凄い。他社の記者には質問を控えるような気配があったから、事前に官邸クラブで「ウチは靖国を聞くぞ」と宣言していたのかもしれない。 戦後半世紀、われわれが築いてきた日本は、いま底無しの沼に沈もうとしている。処理しても処理しても不良債権は増える。消費は萎縮し、倒産と失業者のみが増えている。構造改革か景気対策か、新内閣には救国の期待がかかっていた。靖国神社に参拝しようがしまいが、公的だろうがなかろうが、オイラには正直のところ、どうでもいいことである。 それなのに彼らは、社名を名乗って執拗に参拝のことを尋ねた。テレビで見ていた私は、つい失礼だが「アホンダラ」と呟いた。

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