破綻三セクに群がるハゲタカ外資

執筆者:杜耕次2001年5月号

二千二百億円を投じた「シーガイア」が一割程度で手に入るなら…… 二月十九日に宮崎地裁に会社更生法を申し立て、第三セクターとして過去最大の三千二百六十一億円(グループ合計)の負債を抱えて倒産した宮崎市のリゾート施設シーガイア。経営母体だったフェニックスリゾート(本社・宮崎市)から施設の経営権を引き継ぐスポンサー企業が五月十一日、米投資会社リップルウッド・ホールディングス(本社・ニューヨーク)に決まった。 リップルウッドは九九年に旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の経営権を取得したのをはじめ、今年に入って四月には日産自動車系部品メーカーのナイルス部品(本社・東京)を、さらにシーガイア支援が決まる二日前の五月九日には日立製作所系の日本コロムビアを立て続けに傘下に収めたばかり。昨年の来日時に「向こう三年間で最大一兆円の対日企業投資をする」と宣言したリップルウッドCEOのティモシー・コリンズの意気込みを、まざまざと見せつけている。 施設の場違いな雄大さから、地元では「現代の“バベルの塔”」と揶揄されていたシーガイア。巨大な開閉式屋根を持つ人工海浜プールを筆頭に、地下二階地上四十三階建てのホテル、沖縄サミット外相会議の会場にもなった五千人収容の国際会議場、トム・ワトソン設計のゴルフ場など、九三年に開業した豪華絢爛なこれらの施設建設に要した総事業費は二千二百億円。更生計画のスポンサー企業に選ばれた場合には、これらの施設の経営権が一割程度の投資で手に入るとみられており、日本国内でのディストレスト(破綻)債投資の好機を虎視眈々と狙っていた米ハゲタカ・ファンドなどがこの獲物にワッとばかりに群がった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。