今、日本に必要な“規制緩和”とは

執筆者:スティーブン・ヴォーゲル2001年6月号

規制緩和の重要性は論を俟たないが、大切なのは、自由競争の促進だ。そのためには、時に規制緩和も必要だ。 遂に、日本に待望久しい首相が誕生した。公的規制の軽減と自由競争の促進へ向けて断固たる決意を有し、なおかつそれを実現するだけの決断力と指導力とを備えた首相の登場だ。 だが、以前にもこれと同じ場面を目にしたことはなかったか? 中曾根康弘に細川護熙、そして橋本龍太郎も異口同音に市場開放を唱え、日本を変えてみせると宣言したはずだ。 近年を振り返ってみると、中曾根は確たる信念を持ち、人心掌握の術に長けた、恐らくは最も力のある首相だっただろう。しかも、新保守改革を進める彼に、時代はマーガレット・サッチャーとロナルド・レーガンというまたとない援軍を与えた。 また、細川は一九五五年以降初の、自由民主党ともその強大な既得権益とも無縁の政権を樹立したという点でユニークな存在だった。変化を求めていた国民の期待を一身に集める形で現れた彼もまた、時代を味方につけた首相の一人と言えるだろう。 橋本には、中曾根ほどの指導力も、細川ほどの人気もなかったが、日本の政治や経済が直面する危機を強く訴えることで、国民に行革の必要性を納得させた。彼が打ち出した、行政、財政構造、社会保障、経済構造、金融システム、教育の六大改革は、主だった公共政策をすべて網羅するという、最も大胆かつ広範なものだった。

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