経済的「中国封じ込め」を視野に、目指すはエネルギー安保体制の構築 五月十七日、ブッシュ米大統領は新政権下で初の総合的なエネルギー政策を発表した。チェイニー副大統領を座長とするタスクフォースが、三カ月以上かけてまとめあげた百七十ページを超える膨大なものだ。日本では「原発推進への転換」にもっぱら関心が集まったが、アラスカの野生保護区での油田・ガス田開発、発電所の大増設、ガスパイプライン、送電線網の拡充など幅広い内容を含み、具体的な政策提言は百五項目にのぼっている。アラスカ開発など議会承認が必要な事項も多数含まれており、上院で民主党に主導権を握られているブッシュ共和党が簡単にすべてを実行できるわけではない。だが、米国のエネルギー政策はクリントン前政権の路線から大きく方向転換するのは確実だ。「エネルギー小国」化への警戒 では、ブッシュ政権が進めようとする新エネルギー戦略には一体どんな狙いが込められているのか。「今後二十年以内に米国は大規模なエネルギー危機に直面する恐れがある」。新政策発表のおよそ二カ月前、エイブラハム・エネルギー長官は米商業会議所主催の国家エネルギーサミットでこう警告した。折から計画停電の頻発したカリフォルニア州の電力危機を念頭に置いた発言だが、それ以上に米国の長期エネルギー需給に起きつつある懸念が根底にあった。

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