北朝鮮の飢餓難民が数多く隠れ住む中朝国境地帯で、難民に対する取り締まりが強化されている。北朝鮮から中国側に大勢の軍除隊者が送り込まれ、中国当局と連係して「難民狩り」を始めている。 吉林省延辺朝鮮族自治州・延吉だけで「昨年暮れ以降、難民狩りに来た軍除隊者は延べ二千人を超えている。彼らが難民を見つけ中国当局に引き渡せば、北朝鮮から報奨金が出る仕組み」(朝鮮族筋)だという。危機的な経済状況が続く北朝鮮にあって、こうした大掛かりな任務が遂行されるのは、韓国や日本からの援助で政府に余裕が生まれている証拠との見方もできる。事実、北朝鮮を訪れた在中国朝鮮族の話では、「中国に派遣される軍除隊者の家には政府から現物支給された韓国製のテレビまであって、北朝鮮とは思えないほどだった」という。 北朝鮮難民が中国から直接、韓国への亡命を求めるのは難しい。そこで第三国に脱出した後、韓国大使館に駆け込む者も多かったが、これまで最大の脱出先となっていたモンゴルは四月末頃から方針を転換、国境警備に力を入れ始めた。北朝鮮に連れ戻されても食糧難は続いており、難民の絶望感は募るばかりだ。

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