米共和党穏健派ジェフォーズ上院議員の離党で上院の多数派となった民主党が、政権内穏健派のパウエル国務長官を支援することで、ブッシュ政権内の外交的亀裂を拡大させる戦術を進める構えだ。 パウエル長官は対北朝鮮政策や対中外交などで、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官、ライス大統領補佐官(国家安全保障担当)の保守派トリオとことごとく対立、政権内で孤立が目立つ。民主党のバイデン上院外交委員長は、あらゆる外交問題でパウエル長官を全面支援するよう外交委の民主党委員に通達した。パウエル氏を擁護することで、ブッシュ政権主流派を「超保守」と位置付け、社会から孤立させる戦術だという。今後は、(1)北朝鮮との対話(2)中国との関係改善(3)中東和平への調停強化(4)ミサイル防衛構想の減速(5)国連平和維持活動への関与拡大(6)バルカン半島への米軍駐留延長――でブッシュ政権の政策転換を求める方針。いずれもパウエル長官が政権保守派と対立する項目だ。 政界筋によれば、民主党はパウエル氏とマケイン上院議員を離党させ、次回大統領選での政権奪回を目論んでいるとされ、パウエル氏をめぐる綱引きが激化しそうだ。

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