ネパールの国王一族射殺事件をめぐってはさまざまなうわさが飛びかっているが、新たにインドによる謀略説が取り沙汰されている。ニューデリーの外交筋によれば、事件の背後には最近のネパールの対中接近を重大な脅威とみるインドの国家利益が絡んでおり、同国情報機関が暗躍したふしがあるという。 インドは中国との軍事的緊張から、伝統的にネパールを「緩衝地帯」とみなす政策をとってきたが、今年に入り遅浩田国防相、朱鎔基首相ら中国首脳が相次いでカトマンズ入りしたことで、ネパールのインド離れが本格化すると強く懸念。 インド情報機関は以前から、故ディペンドラ皇太子(当時)が結婚を望んだ相手とされるデブヤニ・ラナさんを懐柔し、ネパール王室の内部情報をつかみ、“親中派”のビレンドラ国王(同)の暗殺や追放の機会をうかがっていたという。 同皇太子か、新国王となったギャネンドラ殿下のどちらかが惨劇を起こすようインド情報機関が仕組んだというのが同筋の見方だ。デブヤニ・ラナさんが事件後いち早くデリー入りし、インド高官の家に身を隠したことも、この説を裏付ける有力材料になっている。

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