ナイジェリアのオルセグン・オバサンジョ大統領(六四)が五月二十一日から三日間、日本を公式訪問した。 オバサンジョ大統領は七〇年代後半、最高軍事評議会議長(国家元首)として民政移管を進めたが、軍政時代の九五年、人権弾圧に抗議して逮捕され、三年間、獄中生活を送った。その後、軍政指導者の急死で釈放され、九九年の大統領選で当選し、八三年以来の軍政を民政に移管した。 民主化のモデルとなった産油国ナイジェリアは、西アフリカのキープレーヤーとして欧米諸国から重きを置かれており、五月十日にはブッシュ大統領の招きで米国を訪問したばかり。小泉首相がこの大物元首との首脳外交をどうこなすか、最初の試金石となった。 二十二日夜、首相官邸の大食堂で歓迎晩餐会がもたれた。そのメニューである。 〈料理〉 アワビのグリル、湯葉のソースで ブロッコリーを詰めたスズキ ラズベリーのシャーベット 葉山産の牛肉フィレ チーズとサラダ チョコレートのデザート三種 〈ワイン〉 ムルソー(白)88年 クロ・ヴジョー(赤)90年 両首脳がそれぞれ歓迎と答礼のスピーチを行い、日本酒で乾杯した。日本酒での乾杯は珍しいが、その前の交換公文の署名式でシャンパンが振る舞われたからである。日本的素材を使ったフランス料理は都内のホテルのシェフが腕をふるった。ワインはフランス・ブルゴーニュ地方のトップレベルだった。出席者は双方合わせて二十数人。両首脳には英語の通訳がついたが、すっかり意気投合した二人は話が途切れることがなかった。

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