小泉首相は衆参同日選を回避

執筆者:2001年6月号

 七月二十九日投票予定の参院選に照準を合わせた衆参同日選挙は見送られる見通しとなった。自民党内には、八割を超える内閣支持率を背景に、小泉純一郎首相に六月二十九日の通常国会会期末の衆院解散断行を求める青木幹雄参院幹事長らの声もあったが、首相自身がこれまで否定し続けてきた通り、同日選を回避する意向を固めたとされるからだ。 最大の根拠は首相による「一票の格差」是正発言だ。首相は五月三十日の参院予算委員会で、各都道府県にまず一議席を割り振った上で三百小選挙区の定数を配分する現行方式を見直し、一票の格差を「二倍以内に抑えるべきだ」と答弁、その後、記者団に次期衆院選から実施するとの考えを明らかにした。 首相の発言は、例えば、鳥取県の定数が現行の二から一、島根県が現行の三から二になる一方、東京都は二十五から二十八に増員されるなど、都市部の定数を増やすことにつながる。これは地方の選挙区に基盤を置く橋本派の野中広務元幹事長や江藤・亀井派の江藤隆美会長らの反発を招くだけではなく、区割り変更を迫られる一部の都市部議員の抵抗を呼ぶのは必至で、この夏までに党内調整がつく見通しにはない。 さらに、首相は六月三十日に日米首脳会談に臨み、その後、英仏両国を歴訪、それぞれ首脳会談が予定されている。首相が同日選を目論んでいるなら、あり得ない外交日程と言える。

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