改革の正念場はこれから。日本経済再生の指南役として、いかなるスタンスでことに当たるのか。どんなエコノミストでありたいのか。竹中経済財政担当相にインタビューした。――なぜ経済学者を志したのか。きっかけを教えて下さい。竹中 私が通っていた和歌山の公立高校に、大変立派な社会科の先生がいました。当時は、優秀だけれど家庭の事情で大学に行けない生徒が結構いたんです。その先生に、君らのように大学へ行ける者は、大学に行けない者の分までしっかり勉強しないとだめだよと言われました。 その時に、世の中を動かしている非常にファンダメンタルなもの、つまり法律や経済を勉強するということはとても重要なんだなと、気付かされたわけです。もちろん当時は経済学というものがどういうものか分かっていたわけではありませんけれど。 で、一橋大学に入って経済学を学び始めたわけですが、ゼミに入ってようやく本格的に経済を勉強するようになった三年生の時、日本はニクソンショックに見舞われた。翌年の日本の頭越しの米中国交正常化にも驚きましたが、それ以上に金とドルの交換停止は衝撃的だったですね。これで一ドル=三六〇円時代が終わるわけです。一体、国際通貨ってなんだろう。フローティング(変動)するって何だろうって、勉強しながら考えるわけですよ。当時の水田三喜男大蔵大臣が「苦悩の末に変動相場制に踏み切る」とコメントした、写真付きの新聞のヘッドラインを今でも覚えていますが、この時には経済ってエライことなんだな、と思いました。私が最初に勉強したのは国際経済なんですが、その問題との関連で、国際通貨とは何かというようなことを考え始めたのを覚えています。そして、国際経済学からマクロ経済学へと入っていった。

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