日本酒で小泉総理を迎えたシラク大統領

執筆者:西川恵2001年7月号

 小泉首相は六月末から米、英、フランスの三カ国を歴訪したが、最後の訪問国となったフランスでは、親日家のシラク大統領が、またも趣向を凝らしたもてなしで新首相を迎えた。 日仏首脳会談は七月四日の昼、エリゼ宮(仏大統領府)で行なわれた。会談後、双方合わせて十八人の出席者はアペリティフ(食前酒)に寿司のつまみで歓談した後、午餐会のため、広大な庭に臨む官邸で最も大きな広間の「祝祭の間」に場所を移した。メニューは次の通りだった。〈料理〉 海ザリガニの生姜風味 子羊の股肉の衣揚げ サラダ チーズ ババリア風チョコレートのデザート〈飲み物〉 シャトー・タルボー・カイユー・ブラン97年(白) シャトー・シュヴァル・ブラン86年(赤) シャンパン サロン・ル・メニル85年 いずれもボルドー地方のワインで、前菜の白、主菜の赤とも素晴らしいが、特にシャトー・シュヴァル・ブランはサン・テミリオン地区の特別第一級に格付けされている最高級。シャンパンも素晴らしい。元首級の国賓に対する内容といってもよく、昼のワーキングランチとしては破格のもてなしである。 注目すべきはシャトー・シュヴァル・ブラン。なぜならこれは小泉首相のためにわざわざ選ばれたからだ。小泉首相は昭和十七年(一九四二年)生まれで、干支は午年。一方のシュヴァル・ブランは訳せば白馬。午と馬をかけたのだ。エリゼ宮の儀典担当者は「駐日フランス大使館から上がってきた情報をもとに決めました。大統領もこれを了承しています」と語る。

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