有権者はインターネットを使う

執筆者:2001年7月号

小泉メルマガは計らずもネット市民の政治への関心を明らかにした。ネット選挙解禁前夜となった参院選に彼らはどう動くのか――

 日本ではインターネットを使った選挙運動は事実上認められていない。自治省(現総務省)が一九九六年に示した、ネットを利用した選挙運動は公職選挙法の「文書図画の頒布」に違反する恐れがあるとの解釈があるためだ。民主党がネット選挙を認める公職選挙法改正案を提出するなど解禁への動きは高まりつつある。だが、政界以上に活発なのは、有権者のネットを使った政治への働きかけである。
 その象徴的な例が小泉内閣メールマガジン。六月十四日の創刊から僅か二週間足らずで登録者は二百万人を突破し、いまだに増え続けている。そのなかには、小泉首相を歓迎しただけでなく、ネット政治そのものを歓迎した市民たちがかなりいたはずだ。
 筆者が運営に携わるVOTEジャパンは、日々の話題に投票するサイトである。「あなたは外務大臣派? それとも外務官僚派?」「どの政党CMが一番すき?」など、ホットなニュースを投票という形で提供している。投票結果を、対象となったその人、関係者に送るのもウリだ。小泉内閣メールマガジンについても投票を実施中で、いまのところ六七%の人が好感を示している。残念ながら首相のメールアドレスが非公開なので、結果を送ることが出来ないでいる。
 小泉内閣メールマガジン自体は一方通行の情報発信だが、首相官邸ホームページから首相や閣僚に直接意見を発信できるようになっている。内閣広報室でメールマガジン、官邸ホームページの編集を担当する山村直弘主査によれば、官邸ホームページへの書き込みは一日平均三千件にのぼる。ホームページのアクセス数も、森政権では一日十万から十五万だったが、小泉政権になって二十五万に倍増し、メールマガジン発行後は平均百万、創刊時には三百万を超えた。「寄せられる意見はメルマガについての感想や要望、ハンセン病訴訟や経済財政諮問会議の『骨太の方針』についての意見から、誹謗中傷までさまざま」(山村主査)だが、官邸ホームページがいまや草の根の声を一番集める日本最大の政治サイトとなった。

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