米中関係は、軍用機接触事故の事後処理に収拾がつき、好転の兆しを見せているが、一方で化学兵器やミサイル技術の拡散をめぐって新たな軋みが水面下で生じている。 ブッシュ政権は六月、「技術輸出入社」など中国の企業二社と、北朝鮮の「蒼光信用会社」の計三社が、大量破壊兵器の関連技術をイランに移転したとして、三社に対米取引の二年間停止などの制裁を科した。 ブッシュ政権発足後初の中国、北朝鮮への制裁発動だった。しかし、外交筋の関心を引いているのは、むしろアメリカ側が選択した公表の時期と方法だ。通常、こうした制裁は国務省が記者会見などで華々しく発表するが、今回は六月二十六日付の官報にひっそりと掲載されただけだった。 官報掲載の二日後の二十八日には、米中外相が電話で会談、パウエル国務長官の訪中を確認したことを発表している。「米国は緊張より和解を前面に打ち出す演出をした。同時に、大量破壊兵器の拡散については、中国や北朝鮮に対する監視を緩めるつもりはないとのシグナルも発するしたたかさを見せた」というのが外交筋の分析だ。

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