北京の清華大学は、党・政府に数多くの人材を送り込み、いまや一大閥をなす。卒業生のひとり朱鎔基首相は、同大学の経営管理学院院長を兼職してきたが、その職を辞することになり、六月六日、大学内部で講話した。冒頭、朱首相は「講話の内容を外部に漏らすな」とクギを刺したが、当日夜には多くの中国人の知るところとなった。 ほかでもない、インターネット上で紹介されたからだ。ネット論壇『思想的境界』は、天安門事件の再評価を求めるなど、骨太の議論を展開し知識人の注目と支持を集めてきたが、そこに講話内容が掲載されたのだ。以下は、朱首相の発言とネット読者からの反応。 朱「学長に意見を求められ、あらゆる授業を英語で教えてはどうかと提案した」 読者「その通り。国家が学生を養えない以上、学生は外国語を習得して外国人のために働くしかないのさ」 朱「わが国は毎年、米国国債への投資で七十―八十億ドルの利子を得ている」 読者「そのおかげで米国は自らの金を一銭も使わず軍備を拡大でき、結果的に中国へ脅威を与える。換言すれば米国の国防費は我が人民の血と汗の結晶ではないか」 昨年六月に一六九〇万人だった中国のインターネット人口は、昨年末には二二五〇万人に急増、二〇一〇年には二億人に達すると見込まれている(中国のネット情報センター、CNNIC)。ことに、金融や生活密着情報をすばやく提供する民間系の「新浪網=SINA・COM」「雅虎=ヤフー」「捜狐=ソフー」などは人気の的だ。

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