関東甲信地方が梅雨明けの猛暑に見舞われた七月十二日、小泉内閣になって初の国政選挙、第十九回参院選が公示された。 解散のある衆議院と違い、きっちり三年おきに半数(今回は定数が五削減され百二十一議席)ずつ改選される参議院はいつもこの時期、真夏に選挙が行われる。参院選に臨む選挙区選挙二百九十二人、比例代表選挙二百四人、計四百九十六人の候補者にとって、そして応援に飛び回る各党幹部にとって、七月二十九日の投票日まで十七日間の選挙戦は、暑さとの戦いでもある。 それにしてもこの日の暑さは特別だった。梅雨前線を日本海まで追いやった強力な太平洋高気圧にフェーン現象が加わり、埼玉県・鳩山の観測所では最高気温三九・二度を記録。東京都心で第一声をあげた小泉純一郎首相(自民党総裁)ら多くの党首も、三五度を超す猛暑の中で選挙戦のスタートを切った。 容赦なく体力を奪う、まとわりつくような熱気。与党党首に比べ、民主党の鳩山由紀夫代表ら野党党首の顔色が今ひとつ冴えなかったのは、自然現象のせいばかりではなかった。内閣発足後三カ月目に入っても一向に衰えない小泉内閣の驚異的な支持率。森喜朗前首相時代に一けたまで落ちた支持率を一気に八割台にまで引き上げた、政界のフェーン現象とも言うべき小泉人気が、野党党首の気力と体力をじわじわと奪っていたのだ。

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