「小さな大使館」が外務省を救う

執筆者:藤村幹雄2001年8月号

どんなに行革が進もうとも、外務省が必要不可欠な官庁であることは論をまたない。だが、年間二千百億円強の外交予算は、明らかに水ぶくれ。豪華な大使館・公邸の建設や、外遊議員の接待をやめれば、「小さな大使館」は容易に実現できる。 外務省が引き続き大揺れしている。松尾克俊・元要人外国訪問支援室長による機密費詐欺事件の公判が始まる中、九州・沖縄サミットでのハイヤー代水増し請求事件で課長補佐らが起訴され、公費を横領したデンバー総領事は懲戒解雇処分。「真紀子旋風」や人事の混乱も相まって、「まさに大乱世」(外務省幹部)の状況だ。これ以外にも、欧州局課長補佐による公金流用疑惑など複数の疑惑捜査が水面下で進んでおり、新たなスキャンダルが外務省をさらなる混乱に陥れるだろう。「伏魔殿」を抜本改革する道はただ一つ。外交予算削減、在外公館縮小という「小さな大使館」を断行することだ。各国は冷戦後、「小さな外務省」を断行しており、わが国だけがこれまで、国際潮流に逆行していたのである。「チョーむかつく。こっちは昼飯二百九十円の牛丼で我慢し、税金納めているというのに、一泊二十万円のスイートとは……」 インターネットの落書きサイトに最近、こんなサラリーマンの愚痴が掲載された。パリのフランス大使公邸修復に際して、小倉和夫大使が一泊二十万円の高級ホテルのスイートルームを公邸代わりに使っていたことを指弾しているのだ。

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