不良債権処理の「わずかな実現可能性」

執筆者:本誌取材班2001年8月号

カオスの中から、ようやく明快な解答が浮かんできた。しかし実態が見えるほどに、償却の困難さは増す。そして、来るべき“痛み”とは―― 小泉政権が経済再生のための最優先課題として掲げた不良債権対策。その多くの根本的な疑問には、これまで長らく明快な解答が示されてこなかった。 日本の銀行はいったいどれだけの不良債権を抱えているのか。その大部分をどのような手段で、どのようなスピードで償却していくのか。償却によって引き起こされる“痛み”とはどのようなものになるのか。 解答が示されないが故に、不信が不信を呼ぶ構図。それをいかに消し去るかは、小泉政権の命運自体を握っている。それは、小泉政権の信任投票とでも言うべき先の参院選のメインテーマが、“痛み”の問題に集約されていたことからも明らかだろう。「不良債権対策は自民党が勝ってからが本番。選挙が終われば間をおかずに動き出す」 参院選の前から金融関係者の間で囁かれてきたこんな予想が、第一ハードルを越えた改革政権のもとで、いよいよ現実味を帯びつつある。日本経済の健全化という至上命題のもと、払わねばならない犠牲の実像がようやく姿を現そうとしている。金融庁の密やかな“告白”

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