金融関係者によると、不良債権処理と保有株の下落などを背景に経営不振が続くあさひ銀行が、東京三菱銀行に合併を申し入れたものの、拒否されたという。これにより「東京三菱銀行による救済」をあてにしていたあさひ銀行の再編戦略は「今や完全に白紙に戻ってしまった」(金融庁筋)とみられ、今後の動きが注目されている。「あさひ銀が東京三菱銀に合併を申し入れたのは八月初め」(あさひ銀関係者)。伊藤龍郎頭取が東京三菱銀の三木繁光頭取に直接面会し、経営統合を視野に入れた包括提携を打診したとされる。ところが条件が「対等な立場での統合だったため、三木頭取はその場で一笑に付した」(金融庁筋)模様だ。 東京三菱銀が統合を拒否した最大の理由は、「対等な立場での統合」に加え、あさひ銀が五千億円の公的資金注入を受けていること。東京三菱銀は国の経営介入を極度に嫌がって三菱信託銀行も含めて公的資金を早々と全額返済している。「あさひ銀と統合すると、再び国の経営介入を招いてしまう」というわけだ。あさひ銀はこのほか横浜銀行や、三和銀行などUFJグループとの“復縁”も検討しているが、今の情勢では難しく、当面は苦境が続きそうだ。

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