ペルーのトレド政権は日本で事実上亡命生活を続けるフジモリ前大統領の身柄引き渡しを要求する姿勢を見せてきたが、実は引き渡し実現は不可能とみて、断念した模様だ。 トレド大統領に近いリマの消息筋によれば、同大統領は七月末の就任式直後、数人の側近とデクエヤル前首相兼外相を交え、「フジモリ対策」の極秘会合を開いた。その結果、フジモリ氏の不正蓄財疑惑では立証が困難なうえ、日本国籍が認められた同氏のペルー送還は要求できないとの結論に達したという。先にペルー最高裁が大統領の職責放棄・不履行の罪でフジモリ氏の逮捕令状を出し、国際手配をするとしながら、執行を見合わせたのは極秘会合の方針が十分伝わっていなかったためとみられる。 極秘会合で新たに浮上したのが、国際刑事裁判所にフジモリ氏を提訴する案。同裁判所はまだ設立されていないが、元国連事務総長で国際法の専門家でもあるデクエヤル氏が「三―四年後にハーグに設置されるのは確実」と説明。トレド大統領は、フジモリ氏を過去の虐殺事件など人道に反する罪で同裁判所に引きずり出す方がより現実的との判断を固め、長期戦で臨む方針に転換したといわれる。

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