昨年の九州・沖縄サミットをめぐり、ハイヤー代二千二百万円を水増し請求させ、その後還流させていたとして、警視庁捜査二課が外務省経済局課長補佐ら四人を詐欺容疑で逮捕した「外務省ハイヤー代詐欺事件」。セコい詐欺だが、実は警視庁は贈収賄容疑での立件を狙っていた。 警視庁幹部が言う。「ハイヤー代の水増し分は賄賂として認定しようとした。この面では警察庁、検察庁との法的調整も問題なく済んだ。しかしネックになったのは、課長補佐ら外務省側がハイヤー会社に対して具体的にどんな便宜を図ったかという点だったのです」。 警視庁は「サミット業務を受注できるよう計らった」と筋を立てようとしたが、「業者選定の権限は分散しており、課長補佐だけの職務権限と見なすことはできない」という結論に達し、国(外務省)から金(架空のハイヤー代)を詐取したという詐欺容疑に切り替えたというわけ。 警視庁、特に捜査二課の内部には「汚職立件がすべて」という雰囲気がある。ある警視庁関係者は語る。「今回のハイヤー代詐欺も、捜査二課の刑事にしてみれば『敗北』。ネタは他にもあるし、必ず二課はサミット絡みの汚職を立件するだろう」

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