北方四島周辺水域における韓国漁船のサンマ漁問題で、操業を許可したロシア側の思惑をめぐって様々な憶測が飛び交っている。 有力なのは、二島返還で決着を目指すロシアが、四島一括返還に舵を戻した小泉政権に対して、揺さぶりをかけてきたとの見方だ。 六月中旬、根室市で開かれた元島民らによる非公開の「北方領土に関する検討会」で、これまで四島一括でまとまっていたはずの元島民の間から、初めて「二島切り離しもやむ無し」との意見が出た。全国さんま漁業協会の理事で色丹島出身の木根繁氏らも、二島先行返還を容認する可能性を示唆しているという。 その背景には、昨年末の日露交渉で四島周辺のマダラ漁獲枠が削減された上、韓国漁船にまで四島周辺に進出されたのでは、自分たちの漁業権益が根本的に損なわれてしまうのではないかとの元島民らの深刻な危機感がある。 しかも、頼りになるはずの外務省はといえば、相次ぐ不祥事と人事をめぐるごたごたで、まともに対露外交を行なう状況にない。 こうした島民の動揺と外務省の混乱をロシアが巧みに突いたともみられるのだ。

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