スハルト時代と変わらぬ利権構造が甦りつつある。経済改革の後退で債権の回収はさらに困難に。[ジャカルタ発]もはや死に体だったワヒド前大統領が“予定通り”に罷免され、インドネシアは、建国の父・スカルノ元大統領の長女、メガワティ・スカルノプトリを新大統領に迎えた。国際通貸基金(IMF)はメガワティ政権誕生を歓迎し、昨年十二月から延期している融資の再開に前向きの姿勢を示している。IMFを事実上コントロールしている米国もゼーリック通商代表をさっそく派遣、新政権を支援するというメッセージを伝えた。 そんな国際社会の祝福ムードの中にありながら、インドネシアで事業を展開している日本企業、邦銀は、むしろ憂いを深めている。「地獄はこれからが本番だろう」と、ある邦銀関係者は嘆息するのである。 豊かな天然資源、安い労働力、人口二億人超の巨大市場という魅力から、日本企業はこれまで積極的にインドネシアに進出してきた。投資調整庁の統計によると、一九六七年から二〇〇〇年までの日本からインドネシアヘの投資累計額は約三百七十三億ドル(約四兆六千億円)。英国の約二百四十七億ドル、シンガポールの約百九十五億ドルなどを大きく引き離し、いまや日本は外国資本による累計総投資額の一五・五%を占める最大の投資国だ。

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