ベルリン五輪と北京五輪

執筆者:生島淳2001年8月号

 アメリカに出張すると、必ず朝のニュースショーにチャンネルを合わせる。お気に入りはNBCの「TODAY」。この時間帯の番組で最も視聴率が高いためだろう、俳優政治家など、アメリカの一流どころが毎朝と言っていいほどインタビューで顔見せしてくるので見逃せない。 アメリカの朝のニュースショーは、日本と違って報道局が制作しているので、「ショー」とはいっても、日本と比べれば中身はかなり硬派である。日本の場合、ワイドショーを手がける社会情報局が朝の情報番組を作ることが多く、年々バラエティ色が強くなってきている。 スポーツ関係のニュースひとつとってみても、日米間ではその取り上げ方の違いに唖然とする。先頃、二〇〇八年のオリンピック開催地に北京が選ばれたが、この時、アメリカのニュースショーの切り口は、北京、いや、中国に対してかなり辛辣だった。 まず、北京オリンピックに反対する下院議員が登場し、「オリンピックが人権の発展、向上につながるとは限らない」 と釘を刺し、「オリンピックが国威発揚の舞台として利用されたことは、歴史が証明している」 として一九八八年のソウル・オリンピック、さらには一九三六年のベルリン・オリンピックのシーンが映し出され、ヒトラーの演説シーンで幕を降ろした。

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