アジア諸国で製造・販売される偽ブランド品の数々。それを仕掛けているのも、買い上げているのも日本人だ。 世界中で日本人ほどブランド好きな国民はいないだろう。欧米を中心とするファッション関連商品の輸入量は年ごとに増加。『世界の一流品図鑑』などをみると、輸入代理店は数百社にも達しており、日本はまぎれもなくブランド輸入大国だ。 とりわけ、ルイ・ヴィトン人気は突出している。ルイ・ヴィトン・ジャパンによると、二〇〇〇年十二月期の年間売り上げは対前年比で一六%増の一千三億円と過去最高を記録。実に世界市場の三分の一を占めている。売り上げの平均単価からバッグの個数を推計すると二百二十万個。海外で日本人観光客が買う量もほぼ同数とみられるから、年間で総計四百四十万個ものルイ・ヴィトンのバッグが日本人に買い上げられている。 ところが、その人気ぶりが仇となって、「類似ヴィトン」も数多く出回っている。筆者は、全国紙の社会部記者時代の一九七八年、三越本店やダイエーの「偽エルメス事件」を手がけて以来、あらゆる偽ブランドの取材を続けているが、現在はルイ・ヴィトン、シャネル(いずれもフランス製)のバッグ・小物類と、ロレックス(スイス製)の腕時計が「偽ブランド三羽ガラス」と言えると思う。有名であるがゆえに贋作側にメリットがあるわけだ。

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