公約の四割でも実現できれば、“改革”は成功したと言うべきだ。「超」知日派の米政治学者による小泉総理への直言――。 一九六四年の初来日以来、日本政治を「外部の目で、内側から」見続けてきた希有な研究者であるジェラルド・カーティス教授は、三十七年経た今も、日本社会と日本政治への興味は尽きることがないという。昨夏来、東京にある政策研究大学院大学客員教授として、久しぶりの長期日本滞在生活が続いているが、今も日々新しい発見があると語る。 新著『永田町政治の興亡』(小社刊)で、自民党政治を支えてきた組織構造の崩壊を論じたカーティス氏の目に、現在の小泉政権と「構造改革」の行く末はどう映っているのか、聞いてみた。優先順位をつけられるか――小泉政権誕生からの四カ月間をどう評価なさいますか。 カーティス そもそも、私は小泉政権が誕生したこと自体に大きな歴史的意義があったと思っています。小泉さんが総理になれたのは、議員が支持したからではなく、自民党支持団体の支援があったからでもない。自民党および政府に対する国民の怒りや不満が党員・党友に伝わった結果、選ばれたわけです。これは自民党の伝統的な集票マシーンが崩壊する過程にあることを象徴する出来事でした。

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