中東情勢の緊迫化に伴いイスラエル軍が、男女兵士が戦闘で死亡する可能性を前提に、国営の精子・卵子バンクの設立準備を進めている。 パレスチナ側との報復合戦の繰り返しで、近年、イスラエル軍の負傷者も増加している。このため、民間の精子・卵子バンクに登録して、万が一の事態となっても、妻や夫との間に子供を残せるよう備える兵士が増えている。 イスラエル政府は最悪の場合、新たな中東戦争の勃発の可能性を想定している。軍の士気を維持する意味でも、国営の精子・卵子バンクの整備を急いでおり、こうしたバンク設立に伴う法的問題や倫理上の障害について検討する専門家委員会を設置して、協議を重ねている。 イスラエルの正規軍約十八万人のうち、徴兵は約十一万人を占める。女子も含めて国民皆兵制度を維持しており、十八歳で徴兵される。男子は三年、女子は一年九カ月の兵役義務がある。 兵役中に結ばれるカップルも多い。さらに、予備役義務もあり、男性は四十一歳、女性は二十四歳もしくは結婚まで戦闘服を着て、生死と向かい合うだけに、精子や卵子の保存は、まさに現実的な問題で、関心は高まるばかりだ。

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